インフルエンザ対策空気清浄機

インフルエンザ対策空気清浄機

空気清浄機を販売している家電メーカー各社は、それぞれ自社の製品の新型インフルエンザをはじめとするウィルスへの対策技術に、独特の名称を付けています。

しかし、実のところそれらのメーカーは、皆イオンを使ってウィルス抑制を行っています。(三洋の電解水でもイオンが生じています)

見ての通り、シャープは「イオン」をそのまま名前に使用しています。

しかし、その他のメーカーは、シャープのパクリのように思われたくないのか、それとも昔流行った「マイナスイオン」という、実は科学的裏付けのない怪しげな物と混同されたくないためか、「イオン」の名を前面に出さないために、空気清浄機のウィルス対策技術の全貌が極めて分かり辛くなってしまっています。

ただ、では各社で差がないのかと言えばそうではなく、主にイオンを飛ばす技術に差があります。

イオンとは、不安定な存在で、そのままではすぐにイオンではなくなってしまうのだそうです。

しかし、イオンを水分で覆うことで早期の消滅を防ぎ、気流に載せて遠くまで届けることが出来るのです。

まず、シャープの製品は、イオンを覆う水分として空気中のそれを利用します。シャープに関しては、それ以上詳しい説明がないので、とにかくそういうことのようです。

パナソニックのナノイーは、シャープのものと近いのですが、冷やした金属の先端に結露を集め、その結露を微細な霧状にして発生させたイオンにまとわせます。

三洋と東芝は、水道水を霧状にしてイオンにまとわせます。極めて分かりやすいですね。

ダイキンは、この中で唯一イオンを製品の外部に飛ばしません。製品本体の中を通る空気に直接放電をしてイオンを発生させ、その場で空気中のウィルスを無力化します。


  低湿度・低温度による機能低下の問題

ただ、ここで注意しなければならないのは、風邪やインフルエンザが最も問題となる冬場は湿度が低く、イオンにまとわせる水分が十分に確保出来ないケースが考えられるということです。

実際、パナソニックは、

冬場の温度や湿度が低い時にはナノイーが発生しないことがあります。

とパンフレットで注意を促しています。

水道水を使用する、サンヨーと東芝はこの問題にはあまり関係ありません(ただ、やはりあまり乾燥していると性能が落ちそうですが)。しかし、その他のメーカーに関しては、使える水分量はパナソニックと同じで空気中の物だけですので、湿度に関しては必ず同様の問題があると言えるでしょう。

なので、購入の際、用途としてウィルス対策に重みを置く場合には、水道水を用いる方式の物の方が確実と言えるはずです

ただし、その方式だと水の補給が必要となるという、多少の手間が欠点とされますが。


  実験による効果の立証

標準となる実験の方法が確立されている訳ではないので、確実な比較を行える訳ではありません。(皆それぞれに勝手な実験を行っています)

 サンヨー「ウィルスウォッシャー」

1m³の試験ボックス内の浮遊ウィルスを約5分間で99%抑制。(電解ミスト[パワーミスト]80mL/h=ウィルスウォッシャー最高濃度型使用時)

 シャープ「プラズマクラスターイオン」

1m³の試験ボックス内の浮遊ウィルスを約10分間で99%抑制。(プラズマクラスターイオン濃度は7.000個/1cm³。濃度50,000個/1cm³の非売品だと10分間で99.9%抑制)

 パナソニック「ナノイー」

1m³の試験ボックス内の浮遊ウィルスを、約90分間で99%以上抑制

 ダイキン「光速ストリーマ」

鳥インフルエンザウィルスに直接(光速ストリーマ)放電により1時間で97%を抑制。3時間で100%抑制(分解・除去)

 東芝「ピコイオン」

120L試験ボックス内(1m³=1,000Lなので、120Lとは1m³の8分の1程度)の浮遊ウィルスを24時間で99.9%抑制。…数値が妙に落ちますが、カタログには確かにそう書いてあります。

 富士通「プラズマイオン+低濃度オゾン」

120L試験ボックス内の浮遊ウィルスを3分間で99.9%抑制。

シャープの市販プラズマイオンクラスターの最高濃度が25,000個/1cm³であるのに対し、ここはこっそり40,000個/1cm³の超高濃度版です。ただし、素人にはこれでは効果は比較不能。


  加湿機能のウィルスへの有効性

ウィルスは湿度が40%を切ると、活動を活発化させるそうです。その為、加湿それ自体が、有効なインフルエンザ対策となります。

なので、本当にこの種の製品でのインフルエンザ対策を考えていらっしゃるのであれば、加湿機能付きの製品を買うのがベストだと思われます。

加湿空気清浄機であれ、加湿器であれ、通常目標湿度は60%に設定されていますが、乾燥の酷い地域・ご家庭であれば、加湿能力の高いスチーム式の加湿器を別で買うのが、本当のベストかもしれません。


  空気清浄フィルターによるウィルスの排除

ただ、盲点になっているような気がしますが、ウィルスは空気清浄機のフィルターに引っ掛かります。そして、一般家庭であれば、広い部屋でも20分もあれば室内の空気は機械内で(性能の範囲内で)浄化されます。

なので、1時間等と長く時間がかかる場合には、イオンが働かなくても、フィルターで空気は綺麗になりますので、あまり意味がないと思います。勿論ウィルスが少しでも抑制されるのであれば、その機能はないよりはあった方がマシなのですが・・・。

(たまたま見つけた同じ考え方・日経トレンディネット「ウイルスを一番防げる”空気清浄機、決め手は「抑制技術」ではない!」)


  飛沫感染と飛沫核感染

実はインフルエンザウィルス自体は、0.08〜0.12μm(マイクロメートル=ミクロン)の大きさで、普通に家庭用として出回っている空気清浄機のフィルターでは捕塵は不可能です。

しかし、それらインフルエンザウィルスは、そのように非常に微細で軽いため、ウィルス単独では飛ぶことができないとされています。

ではどのようにしてウィルスが宙を舞うのかと言えば、人間の唾が咳やくしゃみ等により、飛沫として空中に撒き散らされるのに交じって、空中を舞うことになるのだそうです。そして、その大きさは5μm程度だとされるので、これは普通の空気清浄機のフィルターには問題なく引っ掛かります。

ただ、そのウィルス入りの飛沫が乾燥した物を「飛沫核」というのですが、これを吸い込むことによっても感染する可能性があると言われます。しかし、これははっきりしない話のようです。また、この大きさは0.3μmと言われていますが、これも根拠がはっきりしないのだそうです。

空気清浄機の場合、0.3μmの飛沫核は、HEPAフィルターでなら濾過することが可能です。なので、シャープ製やサンヨー製・東芝製・三菱製・日立製の幾つかの機種が、これに該当することになります。

しかし、(飛沫核の)サイズや、それが元となる感染の実現性に疑問がある上に、それらのメーカーにしても、そういう話をウリとして打ち出している訳では全くないので、ウィルス対策としてHEPAフィルターが必要だと言い切ることが出来る訳ではありません。仮にHEPAフィルターが必要なのであれば、特にパナソニックが対応しない訳がないのです。しかし、それでも飛沫核まで捕塵出来るHEPAフィルター付きの空気清浄機があるのであれば、それを選ぶという選択肢は当然存在します。

ちなみに、5μm程度の飛沫は、不織布のマスクでも防げますが(ただし、マスクと皮膚とのすき間ではなく、都合良く布部分を通ればの話)、0.3μmだとされる飛沫核は防げません。N95という医療用のマスクであれば防ぐことが出来ますが、これは一般用としては推奨されていません(装着が難しく、また、日常の活動で呼吸が苦しいため)。なので、0.3μmの飛沫核は、ある部屋では空気清浄機で捕塵出来ても、、、一番ウィルスに感染しやすいであろう人込みでは、防ぐことは出来ないということになります。

また、それ自体で舞うことはないとされる0.08〜0.12μmのウィルスですが、実のところ、何故かそれを捕塵可能なスーパー掃除機が存在しています。それは三洋電機の「MC-SXD420 エアシス」という機種でして、0.08μm以上の微粒子をほぼ100%キャッチできると言われています。

どうやっているのかと言いますと、掃除機内部でマイナスイオンを発生させて微細なホコリ同士をくっ付けて大きくし、フィルターとして「ULPAフィルター」というHEPAフィルターよりもう一段目の細かいフィルターを用い、かつそれに帯電層を設けてホコリをフィルターに吸いつけています。

当然そういう空気清浄機があれば、という話になるのですが、0.08〜0.12μmのウィルスそれ自体は宙を舞わないとされるので、飛沫核から剥がれて落ちる(?)それらは、掃除機で吸えれば十二分なのかもしれません。ULPAフィルターを使う空気清浄機は、半導体工場のクリーンルームや、病院の集中治療室等で使用されるもので、基本的に家庭向きではありません。それでも以前は結構存在したようですが、現在は恐竜のように滅びてしまっています(ただ、ゼロではありませんが・・・全て売り切れのようです⇒ULPAフィルター空気清浄機(楽天)」)


参考ページ:

新型インフルエンザに備える備蓄品について(前編)(東京海上日動リスクコンサルティング)

新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方(厚生労働省)


  シャープ製の盲点

結構優秀なシャープの「プラズマクラスターイオン」ですが、実はこのメーカーだけ空気清浄機としての適用室内面積と、同じ製品におけるイオンの適用床面積が異なります。

なので、イオンを問題なく活用したいのであれば、大きめの製品を買う必要があります。

また、シャープのプラズマクラスターイオン専用発生機(と新発売の加湿空気清浄機の超高性能版シリーズ)では、そのイオン発生部の部品の定期的な交換が必要となります。

部品代は、機種によって異なりますが、〜6畳用のIG-DX100で希望小売価格5,300円ということになっています。こういう点は気になる方には、気になるのではないでしょうか。


  結論

と、言う訳で、インフルエンザ対策で空気清浄機、あるいはイオン発生機のご購入ということであれば、サンヨー製の加湿空気清浄機を選ぶのがベストだと思われます。
サンヨーはメーカーがなくなり、パナソニックがウィルスウォッシャーの後継機種を出すという発表もないので(2013年1月現在)、敢えて言うなら、やはりシャープの加湿空気清浄機です。あまり効かないかもしれませんが、少しだけマシだと思われます。
国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンターの西村秀一氏らの、14.4m³の空間内で実験によると、何とプラズマクラスターイオンには、ウィルス減退の効果は見られず、ナノイーには若干の減退効果が見られたということです(汗)。(⇒「新規電気製品の浮遊ウイルス除去効果、HEPAフィルター装着空気清浄機に遠く及ばず/日経メディカル」)
ただ、(明らかに)この人達としては、HEPAフィルターを付けた空気清浄機が、ウィルス除去効果が高いということにしたいようですが、ダイキンの非HEPAの機種と、三菱製(三菱製は既に販売終了)のHEPAの機種の実験結果のグラフ(2ページ目の左右のグラフの、細かい点線)を見比べると、実質変わりは見られません。なので、非HEPAでも構わないようです。


関連リンク:

インフルエンザ対策、今売れている空気清浄機は?――さくらやに聞く(日経トレンディネット)

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